論文アクセプトについて②|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

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論文アクセプトについて②|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

論文アクセプトについて②

オートファジーと骨について

オートファジーとは自分自身の一部を食べることで、老廃物や異常なタンパク質を掃除している細胞内のシステムのことです(詳細は前のブログを参考にしてください)。オートファジーは老廃物を食べるだけではなく、感染症、癌、免疫など様々な疾患に重要であることが分かってきています。

私はオートファジーと骨、特に骨芽細胞に注目しました。骨は骨芽細胞と破骨細胞のバランスの上に成り立っており、常に破骨細胞が骨を壊しながら、骨芽細胞が骨を新生することで骨を常にリニューアルしています。現在、骨粗鬆症の治療薬として一般的に使用されるのはほとんどが破骨細胞に作用するものであり、破骨細胞の機能を抑制することで骨破壊の進行を遅らせる作用が主なものでした。骨芽細胞を活性化する薬剤もありますが、保険適応期間が2年と短く、注射製剤であることから患者さんに負担が大きいものしかありませんでした。そこで、オートファジーという新しい切り口から骨芽細胞の機能がどのように変化するか検討することで、骨芽細胞を活性化させる新規薬剤の糸口になるのではと考えました。

私が所属していた、吉森先生の教室ではオートファジーが活性化しているマウスが開発されており、そのマウスの骨芽細胞を取り出して(primary culture)調べたところ、骨芽細胞の機能や分化能が亢進していることがわかりました。また、骨芽細胞のオートファジーのみが活性化しているマウスを作成したところ、骨形態が増強していることがわかりました。このマウスに人為的に骨粗鬆症を誘導したところ、通常のマウスが骨粗鬆症になってしまう状態よりも、オートファジーが亢進したマウスでは骨粗鬆症が抑制されることも分かりました。論文としては骨芽細胞でオートファジーが亢進することで、どのようにして骨芽細胞の分化や機能亢進が起こるのかという細胞内のメカニズムについて解明していますが、ここでは割愛させていただきます。

この研究を通じて、オートファジーという新規のメカニズムを通じて、骨芽細胞の活性化が促されることが分かりました。現在既にオートファジーを亢進させる薬剤については開発が続けられています。近い将来に骨芽細胞のオートファジーを活性化する薬剤によって骨粗鬆症治療ができるかもしれません。