皮膚筋炎・多発筋炎
- 2022年1月25日
- 診断基準
皮膚筋炎・多発筋炎
皮膚筋炎や多発筋炎は筋組織や皮膚組織に対する自己免疫反応を主とする炎症性疾患です。自分自身の体に対して抗体ができて攻撃してしまう病気ですが、全身の筋肉が障害されるわけではなく、特に体幹部や四肢近位筋(体幹部に近い大きな筋肉群)などの筋力低下が特徴的です。このうち特に皮膚に典型的な症状が出てくるものを皮膚筋炎と言います。
特徴的な症状として三大徴候と呼ばれるものがあります。
①全身症状(発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振、体重減少など)
②筋症状(緩やかに進行する体幹、四肢近位筋群、頸筋、咽頭筋の筋力低下)
③顔面皮膚症状(上眼瞼のヘリオトロープ疹、手指関節背側のゴットロン丘疹)
診断基準
1.診断基準項目
(1)皮膚症状
(a)ヘリオトロープ疹:両側または片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑
(b)ゴットロン丘疹:手指関節背面の丘疹
(c)ゴットロン徴候:手指関節背面および四肢関節背面の紅斑
(2)上肢又は下肢の近位筋の筋力低下
(3)筋肉の自発痛又は把握痛
(4)血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼ又はアルドラーゼ)の上昇
(5)筋炎を示す筋電図変化
(6)骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛
(7)全身性炎症所見(発熱、CRP上昇、又は赤沈亢進)
(8)抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗Jo-1抗体を含む。)陽性
(9)筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性及び細胞浸潤
2.診断のカテゴリー
皮膚筋炎 : (1)の皮膚症状の(a)~(c)の1項目以上を満たし、かつ経過中に(2)~(9)の項目中4項目以上を満たすもの。
なお、皮膚症状のみで皮膚病理学的所見が皮膚筋炎に合致するものは、無筋症性皮膚筋炎として皮膚筋炎に含む。
多発性筋炎 : (2)~(9)の項目中4項目以上を満たすもの。
注意すべき合併症
・間質性肺炎;間質性肺炎を合併する場合予後が悪いと知られています。特に急速進行性間質性肺炎は致死的であり、早急に入院でのステロイド治療が必要です。
・悪性腫瘍;皮膚筋炎では約3倍、多発筋炎では約2倍悪性腫瘍にかかりやすくなります。そのため定期的な癌検査が必要となってきます。