甲状腺の腫瘍
- 2022年1月29日
- 診断基準
健診や胸部C T、頚部のエコー検査で甲状腺に影が見つかることは稀ではありません。甲状腺に見つかる影は良性の腫瘍から悪性のものまで幅がありますが、良性腫瘍としては濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫があります。
濾胞腺腫
エコーや細胞診(細い針で組織の一部分を採取して確認する)などで診断し、悪性腫瘍が疑わしくなければエコーで定期的に確認します。
・腫瘍の大きさが4cm以下
・腫瘍の内部が嚢胞(液体成分)で満たされている
・経過観察をしていても大きさが変わらない
などが濾胞選手の特徴です。濾胞腺腫を縮小させる目的での甲状腺ホルモン剤の投与はエビデンスがないとされています。また、濾胞腺腫由来の甲状腺ホルモンが増加してしまう疾患(プランマー病)では治療が必要です。
腺腫様甲状腺腫
甲状腺の良性腫瘍として取り扱われることが多いですが、厳密には甲状腺の過形成と言える疾患です。腺腫のような腫瘤が複数できるもので、エコーや細胞診で悪性かどうか確認する必要があります。
甲状腺の悪性腫瘍
甲状腺の悪性腫瘍は乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、悪性リンパ腫、未分化癌の5種類があります。このうち、乳頭癌が最も多く80-90%と言われており10年生存率は90%以上の予後の良い癌と報告されています。しかし、乳頭癌はリンパ節転移しやすいため遠隔転移しないうちに早期に外科的治療が必要です。