水痘・帯状疱疹ワクチン|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

〒670-0944 兵庫県姫路市阿保甲845番
079-226-5550
WEB予約
ヘッダー画像

ブログ

水痘・帯状疱疹ワクチン|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

水痘・帯状疱疹ワクチン

水痘-帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus: VZV)は水痘(水疱瘡)の原因ウイルスで、感染後は脊髄後根神経節や脳神経節に潜伏する形で持続感染しています。その状態で体調不良や高齢化による免疫力低下により水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化すると帯状疱疹として、水疱を伴う皮膚症状として症状を示します。

元々、成人の90%以上は水痘-帯状疱疹ウイルスに既感染と言われており、その全ての人が帯状疱疹のリスクを抱えているといえ、80歳までに3人に1人が発症すると推定されている非常に身近な疾患が帯状疱疹と言えるでしょう。また、帯状疱疹は水疱を伴う皮疹が出ている時の疼痛も強いですが、合併症として皮膚症状が改善しても帯状疱疹後神経痛が10〜50%の頻度で生じると言われています。この帯状疱疹後神経痛は加齢や帯状疱疹発症時の疼痛の程度や皮疹の数に相関していると考えられています。

 

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹予防のためのワクチンとしては現在日本で使用できるものは生ワクチンの「ビケン」と不活化ワクチンのシングリックスの2種類になります。

「ビケン」のワクチンは日本の研究者である高橋理明先生が1970年代に開発した弱毒化水痘ウイルスであるOka株を採用しています。高橋先生は大阪大学微生物病研究所で長年研究されてきたウイルス学の大家で、Oka株は海外の水痘ワクチン(Varivax)や帯状疱疹ワクチン(Zostavax)の成分にも採用されています。「ビケン」のワクチンは元々小児に使用する水痘ワクチンですが、2016年から帯状疱疹予防として認可されています。

ただ、生ワクチンであり、下記のような制限があります。

  • 50歳以上の方が原則対象(任意接種であり、1回接種)

(過去に帯状疱疹に罹患していても接種可)

  • 「ビケン」のワクチン接種できない方

・妊娠中の方もしくは妊娠予定の方(ワクチン接種後2ヶ月は妊娠を避けて下さい)

・免疫不全状態(悪性腫瘍の骨転移、未治療の活動性結核、白血病、A I D S)

・化学療法、免疫抑制薬やステロイド治療中(中等量以上)の方

・カナマイシンやエリスロマイシンでアレルギーを起こした方(これらの成分が入っている)

・その他含有成分によるアナフィラキシー反応の既往のある方

 

シングリックスは水痘-帯状疱疹ウイルスの表面抗原を使った不活化ワクチンであり、2020年に接種が可能となりました。水痘に対するワクチン効果はないものの帯状疱疹には97%と高い発症予防効果を示します。従来の「ビケン」のワクチンだと帯状疱疹の発症予防効果は50%程度と言われています。さらに効果持続期間は弱毒生ワクチンが5年程度に対して、シングリックスは現時点で9年以上免疫が持続することがわかっています。

  • 50歳以上の方が原則対象(任意接種であり、2回接種)

(過去に帯状疱疹に罹患していても接種可)

  • シングリックスを接種できない方

・発熱や急性疾患がある方

・含有成分によるアナフィラキシー反応の既往のある方

 

つまり、シングリックスの方がより効果的で接種対象となる人も幅広く使用することができます。しかし、「ビケン」のワクチン(8800円程度)に比べてシングリックスは約5倍(約22000円×2回)と高価であることも念頭に入れておかなければなりません。自治体によっては成人の帯状疱疹ワクチンに対して補助をしているところもありますが(名古屋市や文京区など)、姫路市では成人の帯状疱疹ワクチンには特に補助制度はありません。もちろん、子供の水痘予防については定期接種となっており、無料で接種することが可能です。