新型コロナウイルス感染症の後遺症について〜味覚・嗅覚障害|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

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新型コロナウイルス感染症の後遺症について〜味覚・嗅覚障害|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

新型コロナウイルス感染症の後遺症について〜味覚・嗅覚障害

新型コロナウイルス感染症の後遺症について〜味覚・嗅覚障害

 

新型コロナウイルス感染症と嗅覚障害について

新型コロナウイルス罹患に伴う症状として味覚・嗅覚障害はよく知られているところだと思います。一般的にコロナウイルス感染後の嗅覚障害は2週間程度と早期に回復することが多いとされています。これまで頭部M R Iを用いた研究で、コロナウイルス罹患後に嗅裂(においのセンサーである嗅神経が分布している鼻腔の奥の部分)の閉鎖所見が認められるものの、発症より1ヶ月経過すると、この嗅裂の閉鎖所見がなくなっていることが分かっています。つまり、早期に改善する嗅覚障害は鼻粘膜の浮腫や分泌物の増加によって、においセンサーである嗅神経が障害されていることによって起こっているため、早期に改善するのではと考えられています。

そして、遷延化し長期間に渡って嗅覚障害が持続するのは別の作用機序が働いていると考えられています。

 

嗅覚とは

そもそも「におい」を感じるとはにおいの原因となる化学物質が鼻粘膜の嗅覚細胞の受容体に感知され、その刺激が嗅神経を通じて嗅球と呼ばれる中継地点を経由して、そこからさらに大脳皮質へと刺激が伝導し「におい」が認識されます。この中でどこの地点が障害されるかによって嗅覚障害が分類されますが、①嗅覚細胞の受容体が鼻粘膜の浮腫や分泌物によって障害される気導性嗅覚障害②嗅神経自体が障害されている嗅神経性嗅覚障害③中継地点である嗅球よりから大脳にかけての障害による中枢性嗅覚障害に分けられます。

つまり、2週間と比較的早期に嗅覚が改善する場合は①気導性嗅覚障害と考えられており、遷延化する嗅覚障害は②嗅神経性嗅覚障害あるいは③中枢性嗅覚障害の可能性が高く、特に1ヶ月以上遷延する嗅覚障害の様態が感冒後嗅覚障害と酷似していることから②嗅神経性嗅覚障害が起こっているのではないかと推測されています。

 

新型コロナウイルスと味覚障害について

罹患後症状に対する厚生省特別研究では、味覚障害が単一で発症することは少なく、味覚障害に嗅覚障害を伴う症例が多いことが報告されています。さらに味覚障害を訴える患者さんの味覚検査をしても正常値を示すことが多かったことから、新型コロナウイルス感染症罹患後の味覚障害の多くは嗅覚障害による風味障害ではないかと考えられています。

もちろん、味覚障害のみ発症していることもあるので、その場合は、口腔内乾燥、真菌感染などの口腔内の異常がないか、亜鉛欠乏症、心因性など精査する必要があり耳鼻科の専門外来を受診する必要があります。

 

新型コロナウイルス感染症診療の手引き 罹患後症状のマネジメント参照