新型コロナウイルス感染症の内服薬(モルヌピラビル)について|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

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新型コロナウイルス感染症の内服薬(モルヌピラビル)について|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

新型コロナウイルス感染症の内服薬(モルヌピラビル)について

先日(2021年12月24日)に厚生労働省より新型コロナウイルス感染症の内服薬が特例承認されました。ラゲブリオ(モルヌピラビル)という薬剤で承認されている薬剤では初めての内服薬になります。重症化リスクのある軽症〜中等症の18歳以上の患者さんに5日間投与するタイプの薬剤です。

この薬はコロナウイルスが増殖するところを阻害する形で機能しています。コロナウイルスが増殖する時に、自分自身の複製を作るためにウイルスの遺伝情報であるRNAをコピーします。その遺伝情報のコピーを作る時にRNA依存性RANポリメラーゼ(RdRp)が働いていますが、このRdRpを阻害してコピーミスを引き起こし、正常なコピーを作らせないようにしてウイルスの増殖を抑制します。この作用機序はアビガンと同じものですが、ラゲブリオ(モルヌピラビル)はウイルスに対して「致死性突然変異」と呼ばれる現象を起こし、ウイルスに対して致死性であり強力なウイルス抑制効果を発揮することが判明しています。

これまで新型コロナウイルス感染症に対して使用できた薬剤は全て点滴製剤であり、患者さんの負担が大きいものでしたが、ラゲブリオ(モルヌピラビル)のように内服で治療できる製剤が初めて出てきたことは画期的なことと思います。特に軽症の方で、内服で対応できる選択肢が増えたことは自宅やホテル待機の方にも適応できるため、今後変異株が広まったとしても病床数に縛られず柔軟に対応できるようになってくると思われます。

ただ、軽症でも重症化リスクのある方や胸部CTで異常所見のある方はすぐに重症化することが多く、自宅待機の方の重症化をモニタリングできない点で、内服薬の使用の難しさがあるかもしれません。