ワクチンの種類|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

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ワクチンの種類|東姫路よしだクリニック|姫路市阿保の内科・リウマチ科・アレルギー科

ワクチンの種類

現在日本で承認されているワクチンには大きく分けて5種類があります。従来まで使用されていた不活化ワクチン、生ワクチン、トキソイドに加えて新型コロナウイルス感染症に対して開発されたRNAワクチンとウイルスベクターワクチンです。

  • 不活化ワクチン

不活化ワクチンとは病原性を完全に無くした製剤です。ワクチン作成の過程でウイルスや細菌を増やしますが、増殖したウイルスや細菌をバラバラにすることで病原性を無くしています。不活化ワクチンが予防する疾患としてはB型肝炎・ヒブ感染症・小児の肺炎球菌感染症・百日せき・ポリオ・日本脳炎・インフルエンザ・A型肝炎・髄膜炎菌感染症、狂犬病などが知られています。

  • 生ワクチンは弱毒化ワクチンとも言われ、症状が出ないけれども免疫がつく程度に病原性を弱めたワクチン製剤になります。生ワクチンが予防する疾患としてはロタウイルス感染症、結核、麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)、黄熱病などがあります。弱毒化しているとはいえ生きているウイルスになりますので、例えばロタウイルスワクチン製剤の経口接種後1週間以内程度は、ワクチンウイルスが便中に排泄されることが知られております。排出されたウイルスにより周りの方が感染し、胃腸炎を発症する可能性は低いことが確認されていますが、二次感染予防のため、おむつ交換後には、石鹸で十分な手洗いをするなど、注意が必要です。
  • トキソイド

細菌によっては、細菌が産生する毒素によってヒトの健康を害することがあります。そこでその毒素の毒性をなくすような製剤がトキソイドとなります。ジフテリアや破傷風などの感染症に対してワクチン製剤があります。

  • RNAワクチン

RNAワクチンは正確にはmRNAワクチンのことで、mRNAとはメッセンジャーRNA(messenser RNA)のことを指しています。mRNAとは設計図となる遺伝情報で、DNAと違って短期間で分解されます。私たちヒトの遺伝情報はDNAに書き込まれていますが、その遺伝情報からタンパク質を作る過程でDNAを鋳型としてmRNAが作られ、さらにそのmRNAを元にタンパク質が翻訳されています。ファイザーやモデルナのワクチンは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(ウイルス表面にある突起部分)の設計図となるmRNAを脂質に包んだワクチン製剤となっています。このワクチンを打つとmRNAを包んだ脂質ごとヒトの細胞内に入っていき、そこでmRNAから新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が大量に作られます。ここで作られるのはウイルスの突起部分にあたるスパイクタンパク質だけで、ウイルス自体は産生できないためワクチン摂取によって新型コロナウイルス感染症に罹患することはありえません。ヒトの細胞で新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が大量に作られますが、このスパイクタンパク質に対して免疫応答おこり、大量の抗体が産生されます。これらの抗体ができるお陰で、本当に新型コロナウイルスが体内に入ってきたときに中和抗体産生や速やかな細胞性免疫反応が起こる仕組みとなっています。

  • ウイルスベクターワクチン

ウイルスベクターワクチンもmRNAワクチンと同様に新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体を作るという仕組みは同じです。ただ、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードしている遺伝情報をヒト細胞へ運ぶ手段が異なっています。現在許認可が下りているウイルスベクターワクチンはアストラゼネカ社のワクチンのみですが、このワクチンはサルアデノウイルスというDNAウイルスを運び屋として遺伝情報を運びます。アデノウイルスは風邪の一般的なウイルスの一つですが、このサルアデノウイルスは増殖できないように加工されており、宿主が風邪に罹患しないように細工がしてあります。そして、このサルアデノウイルスのDNAに新型コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードしている遺伝情報を組み込んでおくことで、DNAからmRNAさらにはスパイクタンパク質が翻訳され、そこで免疫応答が誘導される仕組みとなっています。

 

  • ワクチン接種間隔

新型コロナワクチンに関しては、新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンの同時接種はできません。新型コロナワクチンと他のワクチンを打つ場合は2週間以上間隔を空けるように定められています。

不活化ワクチンや生ワクチン、トキソイドは同時接種ならどの種類でも何種類でも問題ありません。日本では2種類以上の予防接種を同時に行う場合は「医師が特に必要と認めた場合に行うことができる」とされていますが、諸外国において同時接種は一般的に行われています。これは同時接種により各ワクチン相互の干渉がなく、副作用の頻度が上がらないと報告されているからです。ただ、ワクチンの薬液を2種類以上混合することは行ってはならず、同時接種する場合は接種部位を2.5cm以上あける必要があります。

同時接種しない場合、不活化ワクチン接種後は1週間以上、生ワクチン接種後は4週間以上の間隔をあけることが原則となっています。