ピロリ菌除菌(ヘリコバクター・ピロリ)
- 2021年12月28日
- 診断基準
- ピロリ菌検査について
ピロリ菌感染は胃癌の発生率を上昇させることが知られているため、もし感染しているなら除菌することが重要です。
そのためにまず採血検査で胃がん検査ができる「胃がんリスク検診(ABC検診)」が有用です。もちろん、採血だけで胃がんやピロリ菌感染を診断することはできませんが、採血検査のみで簡便に胃がんリスクを評価できるとても利用しやすい検診です。胃がんリスク検診(ABC検診)は保険外の検査となりますが、姫路市在住の方だと前年度20歳、30歳、40歳の時に市より無料クーポン券が配布されます。ピロリ菌の検査としては尿素呼気試験や便検査がありますが、一般的には除菌の確認のために行う検査となります。
- 胃がんリスク検診(ABC検診)
このABC検診ではヘリコバクターピロリIgG抗体検査とペプシノゲン検査を組み合わせたものです。ピロリ菌のIgG抗体を測ることでピロリ菌感染の有無を、ペプシノゲン検査で胃粘膜の萎縮度を調べています。結果はA,B,C,Dの4群に分類され、B,C,D群の方には内視鏡検査が推奨されています。唯一A群の方は健康な胃となりますが、念のために5年に1回程度の胃カメラが望ましいでしょう。
ここでそれぞれの分類において、その後の検査について図解しておきます。
この中で、内視鏡検査後にピロリ菌除菌治療で保険適応となるのは以下の条件となります。
1.内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた方
2.内視鏡検査または造影検査において、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた方
3.胃MALTリンパ腫の方
4.特発性血小板減少性紫斑病の方
5.早期胃がんに対する内視鏡的治療後の
- ピロリ菌除菌
ピロリ菌の除菌治療は胃酸の分泌を抑制する薬剤と2種類の抗菌薬を合わせて3剤を服用することになります。今は3剤を合わせて配合剤となって内服しやすいものを使用することができ、この薬を1週間服用することで約8割の方は除菌に成功することができます。1次除菌にはボノサップ、2次除菌にはボノピオンが使用され、保険適応となりますが、3次除菌からは除菌効率が低下することもあり、保険適応とはなっていません。
- 除菌の確認
ピロリ菌除菌の薬を内服してから8週間以上経過してから、尿素呼気試験あるいは便検査で除菌できたかどうか確認します。尿素呼吸試験は6時間以上の絶食で来院していただき、検査薬を1錠内服して20分後に吐く息を集めて行う検査です。この検査で除菌が失敗していれば2次除菌を行うこととなります。
- 除菌によるデメリットについて
ピロリ菌感染は胃がん発生確率が上昇するため、必ず除菌するようにしましょう。ただ、除菌成功によって胃の粘膜の炎症が改善し、胃酸分泌が活発となるために約10%の方に一過性の逆流性食道炎や十二指腸びらんが発生すると報告されています。胃の状態が良くなることで、食欲が亢進し生活習慣病が悪化する恐れもあります。そのため、糖尿病や高脂血症の方は特に注意しましょう。