パキロビット
- 2022年2月10日
- 新型コロナウイルス感染症
「パキロビット」あるいは「パキロビットパック」はファイザー社製の新型コロナウイルス感染症に対する内服薬です。本日2022年2月10日に厚生労働省が特例承認したばかりの薬剤となります。パキロビットパックとも呼ばれるのは2つの薬剤をセットで内服するためです。具体的にはニルマトレルビルとリトナビルで構成されています。
ニルマトレルビル
「パキロビット」の中心的な薬剤です。コロナウイルスはその設計図となる遺伝情報はR NAに記録されています。その遺伝情報からウイルスを作るためには、RNAの遺伝情報からウイルスタンパク質を生成する訳ですが、RNAから翻訳されたばかりの状態のタンパク質はポリタンパク質と呼ばれ、適切に加工する必要があります。具体的には3C様プロテアーゼ(正式にはC30エンドペプチダーゼ)によって切断されています。この3C様プロテアーゼによる加工作業はウイルスタンパクを構築するにあたって必須なのですが、この3C様プロテアーゼを阻害する薬剤がルマトレルビルとなります。
リトナビル
一方でリトナビルはそもそもHIV治療薬として使用されてきた薬剤となります。リトナビルにはプロテアーゼ阻害剤の分解抑制効果があるため、HIV治療に用いられる抗ウイルス薬との合剤として使用されてきました。そして、今回もニルマトレルビルという3C様プロテアーゼが分解されないように、長持ちさせるためにリトナビルも合わせて内服するという形になっています。
「パキロビット」は入院や死亡リスクを88%も低減したとの報告もあります。モルヌピラビルに続いて2例目の内服薬になり、今後の使用に期待されます。