ばち状指
- 2022年4月2日
- 診断基準
私たちの爪は爪の付け根の軟部組織との角度が160度程度あり、爪自体はほぼ真っ直ぐに生えています。しかし、特定の疾患において爪が緩やかにカーブを描く「ばち状指」となります。
ばち状指が見られる疾患
ばち状指は呼吸器疾患(肺癌やCOPD)や心疾患(先天性心疾患や感染性心内膜炎)、肝硬変、炎症性腸疾患、肥大性骨関節症などが鑑別にあがります。このうち、肥大性骨関節症(HOA)は「ばち指」以外に「四肢長管骨遠位端の骨膜新生」「関節炎」の3徴を有する疾患で約90%に胸部悪性疾患を合併するので注意が必要です。この他にもCOPD患者に「ばち状指」を認めたら、肺がんの合併を疑う必要があり、COPD患者の診察にあたっては必ず爪の状態を確認する必要があります。
疾患別の「ばち状指」について
肺癌;肺癌患者の約17%にばち状指が認められた報告あり。COPD単独では「ばち状指」の頻度は低いとされていますが、COPD患者にばち状指を認めたら肺癌の合併を疑わなければなりません。
間質性肺疾患:特発性肺線維症の67%に「ばち状指」を認めた報告あり
心疾患;感染性心内膜炎、先天性心疾患
消化器疾患:肝硬変、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎の15%、クローン病の38%にばち状指合併の報告あり)
内分泌疾患;副甲状腺機能亢進症
「ばち状指」を持っていても、特に医療機関で指摘されていない方は多くいます。しかし、ばち状指は患者さんと少し話す場があれば、簡単に見つけられる身体兆候の一つです。「ばち状指」の鑑別疾患は多岐に渡っており、特に肺癌をはじめ早期対応が必要な疾患も含まれるため一通り検査をする必要があるため、もし気になる様なら一度医療機関を受診しても良いでしょう。