SLE(全身性エリテマトーデス)
- 2022年1月26日
- 診断基準
SLE(全身性エリテマトーデス)
SLEは自己免疫疾患の一つで、自分自身の一部分が抗原となり、それを認識する抗体が大量に産生されてしまう病気です。このため、抗原と抗体が結合した免疫複合体が組織に沈着し、そこに補体によるアレルギー反応が起こることで組織障害が起こることが原因とされています。SLEも難病の一つですが、難病の中では潰瘍性大腸炎、パーキンソン病に次いで多い疾患とされています。
症状
SLEは全身性エリテマトーデスと呼ばれる疾患であり、文字通り全身の臓器(皮膚、腎臓、肺、脳)など多様な臓器に障害が起こります。また妊娠可能な女性における発症率が高く、女性ホルモンとの関係が疑われています。
除外すべき疾患
・パルボウイルスB19感染症(伝染性紅斑;リンゴ病)
・薬剤性ループス
特定の薬剤を長期間使用することによってもSLEと同様の症状が起こることがあり、以下の薬剤の使用歴について詳細に確認する必要があります。
降圧薬ヒドララジン(アプレゾリン)、α-メチルドーパ(アルドメット)、抗不整脈薬のプロカインアミド (アミサリン)、抗てんかん薬のヒダントイン、抗精神病薬クロルプロマジン(ウィンタミン、ベゲタミン)
2019EULAR/ACR分類基準
少なくとも1回は抗核抗体80倍以上陽性が必須
7臨床項目(全身症状、血液、神経精神、皮膚粘膜、漿膜、筋骨格、腎臓)、3免疫項目(抗リン脂質抗体、補体、SLE自己抗体)に分け、臨床項目一つを含み2~10点で重みづけされた点数合計が10点以上でSLEと分類。
臨床項目
全身症状;38.3℃を超える発熱(2)
血液所見;4000/μl未満の白血球減少(3)、10万/μl未満の血小板減少(4)
精神症状;せん妄(2)、精神障害(3)、痙攣(5)
皮膚粘膜;非瘢痕性脱毛(2)、口腔内潰瘍(2)、亜急性皮膚ループスや円板状ループス(4)、急性皮膚ループス(蝶形紅斑や斑状丘疹状皮疹)(6)
漿膜;胸水又は心嚢液(5)、急性心外膜炎(6)
筋骨格;関節症状(6)
腎臓;0.5g/日以上の尿蛋白(4)、腎生検でクラスIIまたはVのループス腎炎(8)、クラスIIIまたはIVのループス腎炎(10)
免疫項目
抗リン脂質抗体;抗カルジオリピン抗体、または、抗β2GP1抗体、または、ループスアンチコアグラント(2)
補体;C3かC4どちらか低下(3)、C3とC4両方低下(4)
SLE自己抗体;抗dsDNA抗体、または、抗Sm抗体(6)
これらの症状が時間をおいて発現することは珍しくなく、抗核抗体が高い場合は将来S L Eを発症する可能性を念頭に検査予定を組んでいく必要があります。また、膝や腰、肩などの関節痛で来院されている患者さんにも皮膚症状の確認や定期的な血液検査を怠らないことが大切です。