ワクチン副作用について (HPV)
- 2021年12月13日
- ワクチン
ワクチンの副作用について
新型コロナワクチンの副作用について、色々なことが言われています。長期的に見れば正直なところ何が起こるか誰にもわからないというのが本音でしょうが、現時点では接種しないデメリットより接種するメリットの方が大きいという意見が多いのではないでしょうか。ワクチン接種といえば、HPVワクチンについて以前問題になったことがあったので、少し整理したいと思います。
HPVワクチンの副作用について
これまで HPVワクチンを接種して、広範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動などの多彩な症状が起きたことが副反応の疑いとして報告されています。このメカニズムとして、現在は機能性身体症状であると考えられています。神経学的疾患や中毒、免疫反応では説明がつかない現象だからです。これまで多様な症状の報告を受けて、様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という照明はされていないのが現状です。
つまり、ワクチン接種した後や怪我の後などに原因不明の痛みが続「機能性身体症状」が続くことは可能性として起こり得ることであり、これはコロナワクチン接種でも同様のことと思われます。
そもそも機能性身体症状とは、何らかの身体症状があるものの、画像検査や血液検査では、その症状に合致する異常所見が見つからない現象のことを指します。症状に関しては、①知覚異常(頭痛、関節痛、痺れ、光過敏症状)②運動障害(脱力、歩行困難、不随意運動
)③自律神経症状(倦怠感、めまい、嘔気、睡眠障害、月経異常)④認知機能異常(記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下)など多様な症状が報告されています。
このような前提の上で、2021年12月現在では厚生労働省から出されている提言によると「HPVワクチンについては接種後に出現する広範な疼痛、運動障害について現在専門家の間で検討中であり、積極的には推奨されていない。しかし、HPVワクチンが定期接種の対象であることに変わりはなく、被接種者、保護者にHPVワクチン接種の意義効果と安全性に関する十分な情報提供、コミュニケーションを図った上で実施することとなっている。」となっております。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
子宮頸がんについては、ヒトパピローマウイルス(HPV)が持続的に感染することで発症することが明確になっており、日本ではほぼ100%の子宮頸がんで高リスク型HPVが検出されています。また、我が国で年間1.1万人が子宮頸がん発症し、約2800人も死亡している疾患になります。
HPVワクチンには2価HPVワクチン(サリーバックス)と4価HPVワクチン(ガーダシル)があり、この他にも自費診療の9価ワクチン(シルガード9)があります。ここで「価」というワクチンの種類に分かれていますが、これは何種類のウイルスに対して有効かということを示しています。例えば2価HPVワクチン(サリーバックス)はHPV16型と18型の2種類、4価HPVワクチン(ガーダシル)はHPV6/11/16/18型の4種類をカバーしています。
海外の報告になりますが。HPVワクチン導入によりワクチン型HPVが77.9%減少し、子宮頸部異形成(前癌病変の一種)が51減少したと報告されています。
ワクチン接種対象について
現在小学6年生から高校1年生の女子を対象にHPVワクチンは定期接種の対象となっております。2価HPVワクチン(サリーバックス)、 4価HPVワクチン(ガーダシル)ともに中学1年生までに接種を始めて、初回接種の1ヶ月後に2回目、初回接種の6ヶ月後に3回目を接種します。どちらのワクチンにせよ初めての性交渉を経験する前に接種することが望ましいです。また、
いずれのワクチンも初めての性交渉を経験する前に接種を始めることが望ましいです。
サーバリックス:中学1年生までに接種をはじめ、初回接種の1か月後に2回目、初回接種の6か月後に3回目を接種します。
ガーダシル:中学1年生までに接種をはじめ、初回接種の2か月後に2回目、初回接種の6か月後に3回目を接種します。HPV感染は男女間で感染を繰り返すことと、尖圭コンジローマや肛門がん発症を抑制するため男子にもHPVワクチン接種が勧められており、日本では2020年12月より任意接種で男性が4価HPVワクチン(ガーダシル)接種可能となっております。