ステロイド誘発性精神障害(ステロイドサイコーシス)
- 2022年1月31日
- 診断基準
ステロイドは医療の現場で頻繁に使われる薬剤ですが、よく「諸刃の刃」と表現されることがあります。非常にキレの良い薬である反面、その副作用も多様で中には深刻なものや副作用とわかりにくいものもあります。今回はステロイド投与に伴う精神症状について概説します。
ステロイド誘発性精神障害はCorticosteroid-induced psychiatric disorderの略称CIPDと称されることがある、精神疾患というより精神症状の一つです。ステロイドは精神症状の発症リスクがもっとも高い薬剤の一つであり,CIPD発症に伴い、自殺のリスクは7 倍に上昇すると言われています。ステロイドは海馬における脳内ドパミンを増加させ、逆にセロトニン放出を抑制させるなど脳内でも多様な働きをすると報告がありますが、詳細なメカニズムは不明です。
症状
CIPDはステロイド投与量に依存すると言われており、ステロイド開始から2週間以内に発症することが多いと言われています。
- 気分障害;うつ症状
- 精神病性障害;妄想や幻覚などの統合失調症症状
- せん妄
CIPD発症の危険因子
- 女性
- プレドニン換算で40mg以上の高容量
- 長期投与
- 高齢
- アルコール多飲
- SLE
- 治療
精神科専門医への相談が望ましいです。最も効果的な対処法はステロイドの減量です。ただ、ステロイドは急激に減量すると副腎不全になるため徐々に減量する必要があるため、自己判断せずかかりつけ医と相談しながらステロイドを減量していく必要があります。