リウマチ性多発筋痛症
- 2021年12月26日
- 診断基準
リウマチ性多発筋痛症は50歳以上の中高年に発症し、平均70歳前後で高齢者に多く、80歳代も稀ではない疾患です。頸、肩、腰、大腿など四肢の近位部(近位筋)の疼痛を訴えられ、特に肩甲部の疼痛は頻度が高く、上腕圧痛は特異度が高いことが知られています。37℃台から38℃を超える発熱や食欲不振、抑うつ症状、体重減少を認めることもあります。これらのことから悪性腫瘍の鑑別は非常に重要です。高齢者において発熱、筋肉痛、炎症反応上昇を認めた場合、感染症や悪性腫瘍検索などを行うことが一般的ですが、それでも診断がつかない場合は膠原病の一つとしてリウマチ性多発筋痛症を疑う必要があります。
リウマチ性多発筋痛症の診断基準(Bird分類)
- 両肩の痛みand/orこわばり
- 初発から症状完成まで2週間以内
- 初診時、血沈40mm/時以上
- 朝のこわばり(頸、肩甲骨、腰)1時間以上
- 年齢65歳以上
- うつ状態and/or 体重減少
- 両側上腕の圧痛
上記3項目以上、または上記1項目+臨床的病理学的な側頭動脈の異常
⇨probable PMR
PMR(リウマチ性多発筋痛症)の診断を確実にするためにはステロイドによる診断的治療が有効です。
さらに2012年EULAR/ACRより超音波検査の項目を含んだ分類基準が提唱されています。
超音波検査なし | 超音波検査実施 | |
45分以上持続する朝のこわばり | 2 | 2 |
臀部痛または股関節の可動域制限 | 1 | 1 |
RF,CCP抗体陰性 | 2 | 2 |
肩関節、股関節以外に関節症状なし | 1 | 1 |
超音波所見 | ||
少なくとも一方の肩で三角筋下滑液包炎、上腕二頭筋腱鞘滑膜炎、肩甲上腕関節滑膜炎のいずれか、かつ少なくとも一方の股関節において滑膜炎/転子包炎を有する。
両方の肩で、三角筋下滑液包炎、上腕二頭筋腱鞘滑膜炎、肩甲上腕関節滑膜炎のいずれかがある。 |
なし | 1 |
リウマチ性多発筋痛症と分類
超音波検査未実施⇨合計5点以上
超音波検査実施⇨合計4点以上
ただし、リウマチ性多発筋痛症は除外疾患であり、感染症や悪性腫瘍、血管炎、皮膚筋炎/多発筋炎などを十分に鑑別する必要があるため、診断基準、分類基準にしたがって機械的に診断を下すことはできません。お近くの関節炎症状や膠原病に詳しいクリニックを受診する必要があります。